【Tokyo Pops編】

22 février 2018

A deux stations de Shibuya...le village de Komaba

著者は留学のため、再び日本へやって来ます。元上司の計らいでフライトはビジネスクラスにアップグレードされ、機内でサービスされるシャンパンに夢心地のまま、日本に到着します。そして、今度の住まいは閑静な駒場にある留学生会館です。さて、その住み心地は夢心地のままでしょうか?

 

 

<原文>A deux stations de Shibuya...le village de Komaba

 

Après ce périple de douze heures au-dessus des nuages, je dois à regret quitter ma bulle de luxe.  Dans l'aéroport, sans hésitation1, je vise le guichet de vente des tickets pour le train Skyliner rejoignant Narita à la gare d'Ueno.  Deux heures plus tard, me voilà dans l'hystérie de la mythique2 station de Shibuya.

 

En prenant la direction de Shimokitazawa, le nombre d'utilisateurs s'amenuise. La frénésie régnant parmi la foule qui se croisait en deux lignes distinctes et policées3 dans les couloirs de la gare de Shibuya retombe sans prévenir.  En dix minutes, je débarque à la campagne, à Komaba.

 

Des branches de cerisiers artificielles décorent les frontons des échoppes, annonçant le printemps.  L'horizon s'étale, il n'est plus obstrué comme en ville.  Les ruelles du village sont juste assez larges pour laisser passer un vélo et une charrette de vendeur de patates douces.  Les boutiques exhalent un parfum d'autrefois, de vieux livres un peu moisis, de soupes miso et de riz au curry.  Enveloppée dans ces senteurs, je marche jusqu'à la résidence où je vais m'installer.

*

Un gardien me confie une clé ainsi qu'un manuel de bonne conduite4 à l'attention des pensionnaires.  J'introduis quelques yens dans le compteur qui approvisionne ma chambre en électricité et en eau chaude.

 

Au troisième étage, je pousse une porte et découvre mon habitat.  Mes priorités se bousculent devant cette cellule monastique et en haut de ma liste intérieure apparaissent, encore tout essoufflés5, les mots « ordre » et « organisation ».

 

A vrai dire, je peux embrasser6 d'un seul regard le continuum qui abritera désormais mon  quotidien : porte---bureau---lit---étagère---réfrigérateur---salle d'eau---porte.  Les visites chez mes voisines d'étage me permettront7 plus tard d'admirer comment chacune d'elle a su créer un agencement original et unique avec le même lot de départ, minimaliste.

*

Je m'installe une table supplémentaire à l'aide d'une valise et repousse au plus loin le lit qui obstrue à présent8 l'accès du précieux balcon où le linge peut sécher au vent.  La vue donne sur un vaste parc d'où parviennent les cris des corbeaux.  Du lit, je peux suivre la progression de la floraison des cerisiers tout en gardant en ligne de mire9 le pin désigné comme point de rendez-vous en cas de tremblement de terre.

 

 

<試訳>渋谷から二駅...駒場村

 

12時間の雲の上の長旅が終わり、泡立つ贅沢な飲み物と心ならずも1離れなければならなかった。空港で私は、成田空港と上野駅を結んでいるスカイライナーの切符売り場へとためらうことなく向かった。そうして2時間後には、あの名高い2渋谷駅の喧噪の中にいた。

 

下北沢方面の電車の利用客はそう多くない。都心に向かう(policées)主要な(distinctes)路線に乗るために渋谷駅の通路ですれ違う人々3に見られる熱気が、思いがけなくここでは消える。10分後に田舎に着いた。駒場だ。

 

小さな店がいくつかあり、軒先に飾られた桜の造花が春を告げている。都会では縮こまっている地平線がここでは広い。道路は、自転車とサツマイモ売りの荷車とがちょうどすれ違えるくらいの広さだ。店先からは懐かしい匂いがする。少しかび臭い古本や、みそ汁とカレーライスの匂い。そんな匂いに包まれて私は、これから住むことになるところまで歩いた。

 

管理人が鍵と、住人向けの良い行い4についての手引きを渡してくれた。私はメーターに数百円入れた。そうすると私の部屋に電気と温水が供給されるのだ。

 

4階で私はドアを開け、部屋を見る。修道院のような小部屋を見て、私にとっての優先事項が頭の中で押し合いへし合いしている。私の心の中のリストの上の部分に、青息吐息ではあるが5「秩序」と「整理」という語が現れる。

 

本当に、これから私が暮らすことになることになるこの容れ物は一目ですぐ見渡せるくらいだった6。ドア---机---ベッド---棚---冷蔵庫---洗面所---ドア。その後、同じ階の隣人達の部屋を訪問して、もともとは同じミニマリズムの部屋なのに、彼女達がそれぞれ違う独自のレイアウトをしているのに感心した7

 

私はスーツケースを使って補助テーブルとし、洗濯物を外干しできる貴重なベランダへの道を塞いでいるベッドは出来るだけ遠くに押しやった。8窓からは、カラスの鳴き声が響く広い公園が見渡せた。ベッドの上からは、地震の際の待ち合わせの目印として指定されている松(?)を目印として9、桜の開花の進展を目で追うことが出来た。

問答スタート!!

部員A

部員C

部員C

部員D

部員B

ヴァンサン

部員A

部員C

ヴァンサン

ヴァンサン

部員A

部員D

部員A

部員D

部員B

部員B

部員B

部員D

部員A

編集長

編集長

おこがましい言い方をすると、試訳はよくできていると思います。あとはちょっと表現を変えるだけ。

ダメだしっていう奴ですか。

同じ物をみても、それをどう表現するかというのは人によって違うから、間違いとか誤訳でない限り、文章に手を入れるのは躊躇われますよね。逆に自分の文章をいじられるのは結構、厭なものですからね。

それを言ったら、この翻訳問答が成り立ちません。

最初にAさんが言ったように、試訳は良くできていると思います。表現や解釈で?と思ったところだけ。

どうぞ

1の「スカイライナーの切符売り場へとためらうことなく向かった」のは日本に慣れていることを言いたかったのかなと思うのですが、それをなんとか表現できないかと。

その箇所ですが、「ためらうことなく」ではなく「迷うことなく」とすると、日本の交通事情や料金についてもすっかり分かっている感じがでるのではないでしょうか。

viserには目指すという意味があるので、「に向かった」より「を目指した」にした方がよさそうです。

それから渋谷の喧騒について、原文ではmythiqueと表現されていて、試訳では「あの名高い」としています。mythiqueは神話的というのが原義なので、何とかそれらしい言葉はないでしょうか?「今や伝説になった」とか。

mythiqueは「名高い」とか「良く知られた」という意味で良いです。渋谷のスクランブル交差点は世界的に有名で、今や外国人の観光名所になっているだけでなく、日本に関するドキュメンタリーによく出てきます。フランス人の眼から見ると、スクランブル交差点のような混雑の中で人にぶつからず歩ける日本人はすごいですね。

hystérie=ヒステリーは日本語で書くと、病的なイメージになります。

そこまでの意味はなくて、興奮状態くらいにしておけば?

3のse croisait en deux lignes distinctes et policéesの箇所はdistinctes も policéesも女性形複数なので、lignesを形容していると思います。試訳はちょっと勘違いしているのかなあ。大体このdeux lignesは一列縦隊が二つすれ違っているの?それとも交錯しているの?

辞書を見るとse croiserは両方の意味で使えるようです。

lignesは一列縦隊というより同じ方向に向かう人の流れという感じでしょうか。

う~ん、文章だけではどういう状態なのか断言できません。渋谷駅は複数の路線が入っているターミナル駅ですから、四方八方から人が行き交うという感じでしょうか。

policéは文明化されたという意味でしょうか?日本人の雑踏が文明化されているってどういうこと?

「整然と自制された」という言葉はどうでしょう?

それ良い。

L'horizon s'étaleって言うけど、地平線は見えないでしょう。それとn'est plus obstruéは「視界を遮るものがない」とするととんでもない荒野みたいですが、実際は高いビルがないだけでしょう?

horizonには視界という意味がありますし、obstruéは「視界を遮る」ではなく、「動きを妨げる」という意味があります。

石焼き芋はカロリーヌの描いたイラストを見るとリヤカーを引っ張っていますね。「じゃが芋」になっていますけど。

それはご愛嬌ということで。

4のbonne conduiteは「お行儀の良い」ですけれど、単に「入居にあたっての注意」とか「守るべき規則」ですね。

門限は何時、夜中に騒ぐな、ゴミを出すのは何曜日とかね。

découvre mon habitatのdécouvrirのニュアンスを生かせませんか?

ドアを開けて「えっ!?これが私の部屋!?狭っ!?」という感じですか?

 

なにせ、以前はリッチな叔父夫妻の豪邸や、エヴァと乃木坂の日本家屋に住んでいたのだから、そのギャップがあるよね。

やはり、文章だけでは分りません。恐らくカロリーヌさんはこれまで、あまり「秩序」と「整理」を重視してこなかった。でも狭い部屋を見て、今でもまだ(=encore)自分には縁遠い気はするけど、これからは整理・整頓に努めなければと思ったということではないかと思います。

6のembrasserは家具にキスできるほど部屋が狭いということ?

 

いや、embrasserを辞書で引くと、①「キスする」の次に②「見渡す」という意味がありますから、試訳で正しいです。

試訳では「同じ階の隣人達の部屋を訪問して、(略)独自のレイアウトをしているのに感心した」となっていますが、原文はpermettrontと未来形なので、「これから同じ階の隣人達の部屋を訪問すれば、(略)独自のレイアウトをしているかわかることだろう」でしょうね。

Carolineからメールで、8の文章の和訳に異議が唱えられました!

 

Je pousse le lit au plus loin (DU CENTRE DE LA CHAMBRE) (ce n’est pas écrit mais c’est le sens) (Par conséquent, c’est dommage mais) à présent le lit obstrue/bloque le précieux balcon ou le linge peut sécher au vent.

 

つまり、「ベッドを部屋の中央からできるだけ押しやったので、(従って残念ながら)洗濯物を風に当てて乾かすことのできる貴重なベランダへの出入り口がブロックされてしまった」ということです。わたしたちの解釈と真逆になってしまいました。「書いてないけど、そういうことなのよ」と言われても困るのですが、著者の意図はそういうことだそうです。

9のtout en gardant en ligne de mireですけど、ligne de mire(照準線)をどう訳したらよいものか。

 

僕の若い頃はドイツ語のメルクマールなんて言葉を粋がって使っていましたけれど、いまならさしずめベンチマークですかね。

「松の木をベンチマークにして」というのも変なので、「松の木を視線の基準にすると、いつも同じ桜の木を特定することができ、その桜が次第に開花していく様子を日々追うことができた」ということでしょう。

それは長すぎる。

どんな部屋だったのでしょう。

留学生会館のホームページから抜き出したのがこの間取りです。

なるほど

すぐそこですから、お散歩を兼ねて行ってみましょうか?管理人さんに頼んで空いている部屋の中を見せてもらえるかも。

部員B

編集長

編集長

部員A

部員C

部員D

部員B

部員A

部員A

一同

部員B

編集長

部員B

部員A

ヴァンサン

部員A

編集長

部員C

部員A

部員C

部員C

などなど、、、問答を経て。

↓↓↓

<部員による検討結果>

渋谷から二駅...駒場村

12時間に亘る雲上の長旅を終え、私は残念ながら贅沢な泡立つ飲み物とさよならしなければならなかった。空港に着くと迷うことなく成田と上野駅を結ぶ電車、スカイライナーのチケット売り場を目指した。その2時間後、あの名高い渋谷駅の興奮状態の中に私はいた。

 

下北沢方面に向かう電車の利用客の数は少なくなる。渋谷駅構内のコンコースを行き交う人の流れを支配している整然と自制された躁状態は、突然消え去った。10分後、私は駒場という田舎に降り立った。

 

小さな店がいくつかあり、軒先に飾られた桜の造花が春を告げている。視野が広がり、街のように動きを妨げるものはない。村の通路は自転車や石焼き芋売りのリヤカーがちょうどすれ違えるくらいの幅である。店々からはちょっと黴臭い古本、味噌汁やカレーライスといった懐かしい匂いが漂う。そんな香りに包まれながら私はこれから腰を落ち着けることになる住まいまで歩いた。

 

管理人さんが鍵と入居者向けの注意事項マニュアルを渡してくれた。私は部屋に電気とお湯を供給するメーターに幾ばくかのお金を投入した。

 

4階に上がり、ドアを押した。これが、これからの私の住まいなのだ。修道院の個室のような小部屋を前にして、何を優先に考えるべきか思い悩んだ。そして心の中のリストの上の方にいまだに縁遠い思いのする「整理・整頓」を挙げた。

 

冗談抜きで、これから私の日々の生活に必要なひとセットをひと目で見渡すことができた。ドア、机、ベッド、棚、冷蔵庫、ユニットバス、ドア。後ほど同じ階の隣人たちを訪ねれば、彼女たちがどうやって同じように最小限の家財道具から出発して独特で個性的なレイアウトを作り出しているか見ることができるだろう。

 

スーツケースを使ってテーブルをひとつ付け足した。ベッドを部屋の中央からできるだけ押しやったので、洗濯物を風に当てて乾かすことのできる貴重なベランダへの出入り口がブロックされてしまった。外を見ると、部屋は大きな公園に面しており、そこからカラスの声が届いた。ベッドからは地震の際には落ち合う場所として指定されている松の木を目印に桜が開花していく様子を追うことができた。

問答内で出てくる通り、駒場の留学生会館はプリモの目の前にあります。うーむ、プリモに来るフランス語ネイティブのスタッフや、翻訳の仕事でやってくる外国人の方々も、著者のように田舎だと感じているのでしょうか?閑静な住宅街という言い方もあるのでは、、、、。しかし、もうすぐ窓から見事に咲く桜を堪能できる時期がやってくるのです!

もう一度、原文・試訳を読む

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